多くの人は、前方から歩いてくる人が義足を装着しているかすぐに判断できるでしょう。
なぜなら片方の足が義足だと、どうしても他の部位に負担のかかる歩き方になってしまうからです。
そこでアメリカ・ユタ大学(The University of Utah)の機械・ロボット工学センターに所属するトンマーゾ・レンツィ氏ら研究チームは、義足装着者の歩行を補助する外骨格を開発しました。
外骨格を装着した人は、自分の足で歩いているかのように自然で楽な歩行が可能になります。
この研究は、10月11日付で科学雑誌『Nature Medicine』に掲載されています。
目次
義足装着者は義足に足りないエネルギーを他の部位で補っている
義足装着者は義足に足りないエネルギーを他の部位で補っている
義足装着者はそれぞれ切断レベルが異なります。
特に股関節や太ももなど、膝から上の位置で足を切断した人は、腰は動かせますが、歩行能力がかなり失われてしまいます。
手術中に足の筋肉の多くが取り除かれるため、強度や可動域が不足してしまうのです。
そして標準的な義足は、それら人間の生体力学的な機能を完全に再現できません。
そのため義足装着者は、義足のエネルギー不足を補うために、他の体の部位と筋肉を過剰に運動させることで、なんとか歩けるようになります。
そのため健常者の歩行と比べると、体や足を一生懸命大きく動かさなければならず、少しの距離でも疲れてしまいます。

(画像=再び自然に歩けるようにするための補助デバイスを開発 / Credit:The University of Utah、『ナゾロジー』より 引用)
新しく開発された外骨格は、義足に不足していたエネルギーを提供することで、他の部位で補わなくてもいいようにします。
これにより装着者は再び自然で楽な歩き方ができるようになるというのです。