目次
人間サイズの巨視的物体の量子的ゆらぎを検出

人間サイズの巨視的物体の量子的ゆらぎを検出

Haocun氏は2つの検出機を使って、装置の一部であった中央の鏡そのものの性質を調べられることに気付きます。

装置は発射されたレーザーを中央の鏡を使って2つの検出器に分配することで動きます。

ですがもし、中央の鏡に量子的なゆらぎが存在すれば、デフォルトの状態でも、レーザーの到着時刻に差が出るだろうと考えました。

仮説を証明するために、Haocun氏が最初にとりかかったのは装置内部の全ノイズの測定でした。

このノイズには地響きをはじめとする「古典物理学的な」ノイズの他にバックグラウンドとなる真空中の「量子力学的な」ノイズも含まれていました。

量子力学のレンズを通して見た宇宙は、絶えず何もない空間から量子が対生成と対消滅を繰り返しています。

ですがこのような量子力学的なノイズは並大抵の感度では検出すらできません。

人間サイズの物体に「量子的ゆらぎ」が確認される! ゆらぎ幅のコントロールも可能に
(画像=装置の全体図。前半部分から回収されたレーザーたちは検出装置にあるノイズ削減器でノイズを除去される/Credit:nature,『ナゾロジー』より 引用)

しかし、僅かな重力波を検出するために作られたLIGOには搾り器(Squeezer)と呼ばれるノイズ削減器が取り付けられており「古典的な」ノイズはもちろん「量子力学的な」ノイズを検出して差し引くことが可能だったのです。

ノイズを除去できる準備が整うと、研究チームはデフォルトの状態でレーザーを発射し、中央の鏡の「ゆらぎ」を測定しました。

結果、中央の鏡は40キログラムという巨視的なサイズにもかかわらず10 -20メートルの幅で量子的なゆらぎ状態にあることが確認されました。

これは、小さな量子の世界でみられたゆらぎ現象が、私たちのような人間サイズの大きな物体にも、本質的に備わっていることを意味します。

もし何らかの方法でゆらぎの幅を増やすことができれば(そして存在確率の制御もできれば)、本当の意味での壁抜けやテレポートが可能になるでしょう。