人間も動物も、赤ちゃんはよく眠っているイメージがあります。

彼らはなぜそこまで睡眠を必要とするのでしょう?

9月18日の科学雑誌『Science Advances』に掲載された研究は、脳の発達と睡眠の関係性について調査を行い、そこで成長段階とレム睡眠の時間に比例した関係があるという報告を行いました。

寝る子は育つ、という標語の真意にこの研究は迫っているようです。

目次
大人と子供で変化する睡眠時間
レム睡眠の時間は成長段階と関連する

大人と子供で変化する睡眠時間

動物も人間も「子供がよく眠る」のはなぜか?”寝る子は育つ”の真意に迫る研究
(画像=赤ちゃんと眠る疲れた父親 / Credit:depositphotos、『ナゾロジー』より引用)

睡眠はほぼ毎日私たちが経験しているものですが、科学的には理解できないことがたくさんあります。そして、睡眠の持つ機能は非常に複雑です。

睡眠が何らかの主要な機能を果たすために進化したのだと仮定すると、睡眠時間は生物の生理学的な機能と関連していると考えられます。

そこで、研究チームが目を向けたのが、睡眠の主要なプロセスの1つであるレム睡眠です。

レム睡眠とは、一般的に夢を見ている時間を指し、何らかの意識状態に脳が入っていることを意味します。

この時間は寝ていても目が動いているため、外からでも容易に確認することができます。

レム睡眠の明確な役割はまだ明らかではありませんが、起きている間に経験したことを記憶の中に閉じ込め、統合するための機能だと考えられます。

大人は眠り始めてから約1時間半後にレム睡眠に入る傾向があり、これを規則的に繰り返します。レム睡眠が睡眠全体で占める割合はそれほど大きくはありません。

しかし、新生児の場合、レム睡眠は睡眠時間の約半分を占めます。これは10歳までに睡眠時間の約4分の1まで減少します。

50歳を過ぎるとレム睡眠が睡眠時間に占める割合は15%程度とかなり小さくなります。

これは赤ちゃんや子供にとって日々の経験の重みが、大人に比べかなり大きいことが関係していると考えられます。

地面を蹴って走ったという経験も、子供にとっては発達する脳を強化するものであり、そのためにはレム睡眠を必要とするのかもしれないのです。

レム睡眠の時間は成長段階と関連する

動物も人間も「子供がよく眠る」のはなぜか?”寝る子は育つ”の真意に迫る研究
(画像=成長を比べる親子 / Credit:depositphotos、『ナゾロジー』より引用)

レム睡眠以外の睡眠時間は、体の汚れを落とすように、脳をリフレッシュして修復する時間です。この時間が十分に得られない場合、認知症のような将来の神経障害リスクを高める老廃物を蓄積することになります。

しかし、睡眠のパターンを調べても、最初の段階でどのように睡眠に変化が起きるのかはわかっていません。これを示すための包括的なモデルは不足しています。

そこで研究チームは、神経科学、生物学、数学の専門知識を組み合わせ、2~3歳頃の子供に起きるレム睡眠の時間や被検体との関係について調査を行いました。

分析は人間の子供の他、ウサギ、ラット、モルモットで予備的な測定を行ったとのこと。発達段階での睡眠時間の変化を調査するため、この研究は2年半かけて行われました。

するとレム睡眠の時間は体の成長と比例関係を持っていることがわかったのです。

子供は脳の成長が体の他の部分より早く進みます。そのためネットワークの繋がりを構築するためにより多くの労力を必要とするのです。

しかし、脳がある程度構築されて行けば、あと必要なことは維持管理だけになります。

これは人間以外でも、同様の傾向を見ることができました。つまり哺乳類全体に見られる傾向だったのです。