カナダ・ニューファンドランド州のトウィリンゲートという小さな街で、クロスフォックスの貴重な写真が撮影されました。
撮影したのは、写真家のサム・ギャビーさんで、「8週間近くキツネの側で過ごして、ほぼ毎日写真を撮った」と話します。
野生のキツネは警戒心の強い動物ですが、写真を見ると、非常にリラックスしているのが分かります。
ギャビーさんの話では、「慣れるまでに時間はかかりましたが、徐々に敵意はなくなり、自由に撮影させてくれた」そうです。
黒とオレンジの不思議なキツネ

クロスフォックスは、ユーラシア大陸や北米大陸に多く生息するアカギツネの変種です。
当初は、アカギツネとは別種で、イヌに近いと考えられていましたが、のちの研究で、アカギツネと同種であることが分かっています。

クロスフォックスは、部分的に黒色素を帯びた体毛が目を引くキツネで、背中を縦に伸びる黒のストライプが両腕に伸びるストライプと交差して、十字架の模様に見えます。
これが「十字ギツネ(cross fox)」と呼ばれるゆえんです。


アカギツネと同種ではありますが、クロスフォックスの方がやや大きく、また尾と脚の体毛がアカギツネより多いです。

現在、クロスフォックスの生息地は、基本的に北アメリカのさらに北部に限られます。特にカナダに多く見られ、同地に生息するアカギツネの数の3割近くを占めるそうです。
かつては、アイダホ州やユタ州が位置する中央アメリカにも存在しましたが、密猟や生息地の減少により姿を消しています。

北欧でも時たまに見かけられるそうですが、その数はきわめて少なく、アカギツネ99%に対し、クロスフォックスは1%以下とのことです。


ギャビーさんは「信頼を得たあとは撮影もスムーズにはかどり、こちらから茂みに声をかけると出てきてくれるようになった」と話します。

また「彼らは非常に頭が良く、地面の穴に取っておいた食べ物を掘り出して食べ、残ったらまた埋めるという行動を取っていた」と続けます。

地元民の話では、かつて同地域にキツネの毛皮農場があったそうですが、毛皮の物価が下がり、閉鎖されたそう。
その後、農場主は飼っていたキツネを野に放したと言います。
今回撮影されたキツネたちは、その際に野に帰ったキツネたちの子孫なのでしょう。
参考文献
boredpanda
提供元・ナゾロジー
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