運動せずにカロリーを自動で消費してくれる夢のような「やせ薬」ができるかもしれません。

4月12日に『Nature Metabolism』に掲載された論文によれば、寒さに反応して熱発生脂肪にチェンジする、新たな細胞が確認されたとのこと。

褐色やベージュ色をしている「熱発生脂肪」は、通常のカロリーを蓄える白色の脂肪とは真逆の「カロリーを消費して熱を生成する脂肪」であり、増やすことができれば、運動をせずとも、やせることが可能になります。

目次
カロリーを自動消費してくれる熱発生脂肪を利用
寒さは内臓筋を熱発生脂肪に変換する

カロリーを自動消費してくれる熱発生脂肪を利用

エネルギーを燃やしてくれる「ベージュ脂肪」の増やし方が判明
(画像=熱発生脂肪には古くから知られる褐色脂肪と最近になってみつかった茶色脂肪がある / Credit:Canva、『ナゾロジー』より引用)

ダイエットにおいてカロリーを消費するには運動以外に、もう1つの手段があります。

それは熱の発生です。

私たち哺乳類の多くは常に体温を一定に保つために、常にカロリーを消費して熱を発生させています。

この熱発生は筋肉以外にも、熱発生脂肪とよばれる脂肪組織でも行われています。

脂肪といえばカロリーの貯蓄庫とのイメージが強いですが、それは3種類ある脂肪の中で「白色脂肪」と呼ばれるものだけ。

他の2種類である、「褐色脂肪」と2012年に存在が確認された「ベージュ脂肪」は体温を維持するために、カロリーを燃焼させる役割を担っています。

そして最新の肥満研究の多くは、この2種類の熱発生脂肪に焦点をあてています。

運動して痩せること、そして痩せた体を運動によって維持することは多くの人々にとって難易度が高いことが判明しており、代替手段として熱発生が着目されているのです。

熱発生脂肪を増加させることができれば、原理的には運動することなく、誰もがやせることが可能になります。

寒さは内臓筋を熱発生脂肪に変換する

エネルギーを燃やしてくれる「ベージュ脂肪」の増やし方が判明
(画像=緑の部分が他の細胞から熱発生脂肪(褐色脂肪)に代わった細胞 / Credit:Joslin Diabetes Center 2021、『ナゾロジー』より引用)

エネルギー貯蔵庫である白色脂肪の増加にはとにかく食べればいいことはわかっています。

しかし熱発生脂肪を生成・増加させる効果的な方法は詳しく知られていません。

判明しているのは、熱発生脂肪が「寒さ」に敏感に反応して熱発生量を増やす性質があるということです。

そこで今回、ハーバード大学の研究者たちは、様々な温度環境で育てられたマウスの熱発生脂肪に対して先進的な分析(シングルセルシーケンシング)を行い、個々の脂肪細胞がどんな遺伝子をどれだけ働かせているかを網羅的に探索しました。

結果、寒い環境で育ったマウスの「平滑筋細胞」が熱発生脂肪にフォームチェンジしていた痕跡を判明します。

平滑筋は内臓や血管に存在する意図的に動かせない不随意筋の一種です。

また興味深いことに、フォームチェンジを起こした平滑筋細胞には元から、痛みや温度などの有害な刺激を感知する受容体(Trpv1)が存在していました。

この結果は、急な寒さから体を守るために、内臓や血管の筋肉には、熱発生脂肪にチェンジする準備が事前にプログラムされていることを示します。

古くから「冬は体を温めるためにカロリーが消費され痩せやすい」との逸話が存在していましたが、今回の研究により、やせる原動力が、熱発生脂肪の増加であることが示されました。

そして研究者たちは、この結果こそ究極のダイエットのヒントだと考えました。