イタリア・カリアーリ大学の研究チームは先月、サルデーニャ島近海で底引き網漁をしていた際、偶然に皮膚のないサメが採捕されたことを学術誌で発表しました。

見つかったサメは、「クログチヤモリザメ」という小型種のメスであり、軟骨魚類(サメやエイなど骨格すべてが軟骨からなる魚類)に特有の皮膚構造がほぼ完全に欠如していました。

このようなサメが見つかったのは初めてであり、研究チームも驚きを隠せないようです。

なぜ皮膚を失ってしまったのでしょうか。

目次
サメの皮膚は生存に欠かせない
なぜ皮膚を失った?

サメの皮膚は生存に欠かせない

専門家も唖然、イタリア近海で「皮膚のないサメ」が発見される!気候変動による突然変異か…
(画像=健康な「クログチヤモリザメ」に見られる皮膚/Credit: Antonello Mulas of the University of Cagliari, Italy、『ナゾロジー』より引用)

骨の柔らかいサメにとって、皮膚は生き残っていくために欠かせません。

サメの皮膚は主要な免疫システムとして働き、抗菌性のタンパク質を含む粘液を分泌することで、有害な微生物が住み着くのを防ぎます。

また、皮膚表面は「楯鱗(じゅんりん)」という歯と同じ硬い構造物で覆われており、水の抵抗力をなくすことで高速遊泳を可能にします。俗にいうサメ肌ですね。

加えて、衝撃からの防護にも一役買っています。

なぜ皮膚を失った?

専門家も唖然、イタリア近海で「皮膚のないサメ」が発見される!気候変動による突然変異か…
(画像=口内に歯もなかった/Credit: Antonello Mulas of the University of Cagliari, Italy、『ナゾロジー』より引用)

皮膚のないサメは、昨年7月にサルデーニャ近海の水深500メートル付近で見つかりました。

このサメには、健康な個体に見られる皮膚構造(一番外側の表皮全体・表皮と皮下組織の間の真皮・楯鱗だけでなく、口内の歯まですべて)がほぼ完全に欠如しています。

研究チームによると、ここまで不運なサメは滅多に見られないそうです。

サメの生存にとって皮膚が欠かせないことを考えると、かなり致命的ですが、捕まえた時点では健康な状態にありました。

また不幸中の幸いか、本種はエサを丸飲みするので、歯がなくても食事には困らなかったようです。

専門家も唖然、イタリア近海で「皮膚のないサメ」が発見される!気候変動による突然変異か…
(画像=Credit: Antonello Mulas of the University of Cagliari, Italy、『ナゾロジー』より引用)

皮膚がない理由については、遺伝的な要因から人為的なものまで複数考えられます。

現時点では、化学物質に強く汚染された水域に長期滞在したこと、気候変動による海水の温暖化や酸性化による皮膚の喪失、あるいは、胚発生時の遺伝的な異常などがありうるそうです。

これを踏まえて、研究チームは「深刻化する環境の中で、こうした異常を理解することが生物を保護する重要な一歩となるでしょう」と強く訴えています。


参考文献

iflscience

この研究の詳細は、7月16日付けで「Fish Biology」に掲載されています。 Living naked: first case of lack of skin‐related structures in an elasmobranch, the blackmouth catshark (Galeus melastomus)


提供元・ナゾロジー

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