アニメ映画「天空の城ラピュタ」で表現されているように、私たちは昔から、空で生活することに憧れを抱いてきました。

同様のアイデアは、小説や漫画、映像作品で幾度も登場しています。

では、それらのアイデアを現代的もしくは近未来的に再現するならどうなるでしょうか?

動画クリエイターのハシェム・アルガイリ氏は、自身のYouTubeチャンネルで、現代版ラピュタとも言える「飛行ホテル」のコンセプトムービーを公開しました。

彼によると、「この飛行ホテルには5000人が搭乗でき、数年間空に留まることが可能」なようです。

目次
「現代版ラピュタ」は実現するのか?
核融合を動力とした空飛ぶホテル「スカイクルーズ」

「現代版ラピュタ」は実現するのか?

アルガイリ氏が投稿した動画では、空を飛び続ける巨大航空機が紹介されています。

しかし、これは完全な空想の産物であり、実際に設計図があるわけでも、建造予定があるわけでもありません。

航空機の大きさや重さ、翼幅などの基本的なパラメータも提示されていません。

5000人が搭乗でき空に数年滞在できる天空ホテル「スカイクルーズ」
(画像=左)天空の城ラピュタ, (右)飛行ホテルのコンセプトデザイン。現代版ラピュタと言えるかも? / Credit:(左)tonma522(YouTube)_君を乗せて(天空の城ラピュタ) – Laputa Carrying you (English Version)(2008), (右)Hashem Al-Ghaili(YouTube)_Nuclear-Powered Sky Hotel(2022、『ナゾロジー』より引用)

アルガイリ氏は、動画作成のきっかけについて、次のように述べています。

「現代の飛行体験は、うんざりするほど時代遅れになっていると思います。

今こそ、より快適なフライトを実現させる革新が必要なのです。

そして私は、以前からスタジオジブリのファンでした。

天空の城ラピュタは、人間が生活できる巨大飛行船を扱った、私のお気に入り映画の1つです」

つまりアルガイリ氏は、これまでにない飛行体験を生み出すため、現代版ラピュタを提案してみた、ということなのでしょう。

では、彼が提示する現代版ラピュタはどれほど現実的なものでしょうか?

核融合を動力とした空飛ぶホテル「スカイクルーズ」

5000人が搭乗でき空に数年滞在できる天空ホテル「スカイクルーズ」
(画像=長期間空に滞在できるスカイクルーズ / Credit:Hashem Al-Ghaili(YouTube)_Nuclear-Powered Sky Hotel(2022)、『ナゾロジー』より引用)

アルガイリ氏が考案した飛行ホテル「スカイクルーズ」には、5000人もの人が搭乗し、数年間空に滞在できます。

機内にはレストランやバー、映画館、劇場、ゲームセンターなどの施設があり、さまざまなエンターテインメントを楽しめるようです。

5000人が搭乗でき空に数年滞在できる天空ホテル「スカイクルーズ」
(画像=ショッピングセンターやゲームセンター、劇場が備わっている / Credit:Hashem Al-Ghaili(YouTube)_Nuclear-Powered Sky Hotel(2022)、『ナゾロジー』より引用)

また長期間滞在するのに欠かせない医療施設や、美しい景色を楽しめる円盤状の展望台もあります。

さらに結婚式会場も用意され、絶景の中で人生最高の日を迎えることもできるでしょう。

5000人が搭乗でき空に数年滞在できる天空ホテル「スカイクルーズ」
(画像=美しい景色を楽しめる / Credit:Hashem Al-Ghaili(YouTube)_Nuclear-Powered Sky Hotel(2022)、『ナゾロジー』より引用)

では、この巨大ホテルはどのようにして空に浮かび続けるのでしょうか?

アルガイリ氏は動力として、ラピュタの巨大飛行石の代わりに、二酸化炭素を排出しない「核融合発電」を提案しています。

5000人が搭乗でき空に数年滞在できる天空ホテル「スカイクルーズ」
(画像=核融合エネルギーを動力とする / Credit:Hashem Al-Ghaili(YouTube)_Nuclear-Powered Sky Hotel(2022)、『ナゾロジー』より引用)

核融合発電は二酸化炭素を排出しない次世代のエネルギー源として注目されていますが、現状では実現していません。

それは核融合を行うには膨大なエネルギーが必要なためです。

現状核融合発電では「核融合に必要なエネルギー > 核融合で発生するエネルギー」となってしまうため、この関係を安定して逆転させなければ利用できません。

「2030年代には安定した核融合運転が可能になる」という考えもあるため、現代版ラピュタの動力は、核融合発電の利用を想定しているようです。

5000人が搭乗でき空に数年滞在できる天空ホテル「スカイクルーズ」
(画像=人工知能による飛行制御 / Credit:Hashem Al-Ghaili(YouTube)_Nuclear-Powered Sky Hotel(2022)、『ナゾロジー』より引用)

そしてアルガイリ氏は、スカイクルーズが核融合を動力として、20基の電気エンジンと人工知能の飛行制御によって空を飛び続けることが可能だと考えています。

ちなみに公開された動画には、賞賛だけでなく、皮肉めいたツッコミも集まっているようです。

「スカイクルーズが離陸するには、ありえないほど巨大な滑走路が必要になる」

「スカイクルーズはきっと空を飛ぶだろう。物理学や空気力学が存在しなければ!」

「タイタニック(沈没した巨大客船)とヒンデンブルク(爆発事故を起こした大型硬式飛行船)を組み合わせて、その中に原子炉を突っ込んだようなものだ」

このようにスカイクルーズは、荒唐無稽なアルガイリ氏による「僕の考えた最強飛行機」でしかありませんが、ハイクオリティな映像作品のおかげで、いずれ実現されそうな気がしてしまいます。

少なくともSFのモチーフとしては、とてもワクワクさせられる優れたデザインでしょう。


参考文献

Watch the nuclear-powered flying hotel that can stay airborne for years with 5,000 passengers


提供元・ナゾロジー

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