金星は地球のお隣にある惑星ですが、厚い不透明な大気に覆い隠されていて、研究することが非常に困難です。

カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究チームは、15年にも及ぶレーダー調査を行い、そんな金星の雲の下を調査してきました。

そして、その研究成果を4月29日に科学雑誌『nature astronomy』で発表し、これまで知られていなかった金星の軸や自転の詳細を明らかにしたほか、金星のコアのサイズが半径3500kmであると報告しています。

近いけれど謎の惑星、金星の神秘のベールは少しずつはがされているようです。

目次
調査の難しいお隣の惑星
1日の時間が変化し続ける金星

調査の難しいお隣の惑星

今までナゾだった「金星の正確な自転速度やコアのサイズ」が明らかに
(画像=金星は地球と多くの類似点を持つが、基本的な特性は謎のままだ / Credit:Wikipedia、『ナゾロジー』より引用)

金星は地球の隣にある惑星であり、火星とともに地球にとってはもっとも身近な天体です。

近いだけでなく、金星は地球と多くの共通点をもっていて、サイズ、質量、密度もほぼ同じ岩石惑星です。

短時間ですが表面に着陸したロシアの金星探査機ベネラの分析では、表面の岩石は、地球の花崗岩や玄武岩に類似していました。

それでも、金星の基本的な特性は不明のままです。

その原因は、金星が地球から見て太陽の側にあるため、光による観測がしづらいということ。

さらに金星は硫酸の分厚い雲に覆われていて、表面の様子が探査機を使ってもよくわかりません。

さらに非常に高温で、表面では鉛さえ溶けてしまいます。

探査機を降下させても、火星のように長い時間活動させることはできないのです。

そこでカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の研究チームは、レーダーを金星表面にぶつけて、その反射を地球上で観測するという調査を15年間続けてきました。

この調査方法を研究を主導したUCLAのジャン・リュック・マーゴット教授は、金星をディスコボールのように使ったのだと説明しています。

今までナゾだった「金星の正確な自転速度やコアのサイズ」が明らかに
(画像=地球から発射される電波のイメージ / Credit:Muhammad Nadeem, Jean-Luc Margot/UCLA and NASA、『ナゾロジー』より引用)

地球から放った強力な電波の光を、金星がディスコボールのようにきらきらと反射させ、それを見ることで、金星の詳細な情報を取得したのです。

そしてこの調査は、金星の1日の正確な長さ、軸の傾き、コアのサイズを特定することに成功したのです。

こうした情報は、金星の質量が内部でどの様に広がっているかを明らかにし、内部構造を推定するヒントを与えてくれます。

また、惑星の自転に関する正確なデータがないと、将来、本格的な金星着陸調査を行う際に、着陸地点が30キロメートル以上ズレてしまう可能性があります。

地形が複雑な惑星への降下では、着陸地点への正確なオペレーションが非常に重要となります。

そういった意味でも、今回の調査には重要な意味がありました。

1日の時間が変化し続ける金星

今までナゾだった「金星の正確な自転速度やコアのサイズ」が明らかに
(画像=金星は地球の93倍もの大気があり、それが1日の時間をずらしている可能性がある / Credit:NASA / JPL-Caltech、『ナゾロジー』より引用)

この新しいレーダー測定の結果、金星の1日の正確な平均時間は、地球時間換算で243.0226日であることがわかりました。

地球の1年のおよそ3分の2が、金星にとっての1日なのです。

そして、今回初めて明らかになったのが、金星の自転速度が一定ではなく、常に変化しているということでした。

15年間の測定で、金星の自転速度は以前の値より大きくなったり小さくなったりしていたのです。

これは1日の長さが最大20分も異なるというものだったのです。

金星の1日を測定した見積もりには、これまで互いが一致しないという問題がありました。今回の結果はその理由を説明しています。

この安定しない自転速度は、金星が持つ重い大気が原因となっている可能性があります。

重い大気が惑星の周りを回るとき、固い地面との摩擦でその勢いを交換し、惑星の自転を加速したり減速させたりするのです。

これは地球でも、自転速度に1日1ミリ秒程度の変化を与えています。

金星は地球の93倍も分厚い大気を持つため、この影響ははるかに大きく劇的であると考えられるのです。

また、研究チームは、金星の軸の傾きが、正確には2.6392度傾いているという事実も報告しています。

地球の軸は約23.4度傾いているので、これは非常にわずかな傾きです。

この測定は、これまでの10倍も精度が向上しています。

今までナゾだった「金星の正確な自転速度やコアのサイズ」が明らかに
(画像=金星の回転軸を表した画像 / Credit:Jean-Luc Margot/UCLA and NASA、『ナゾロジー』より引用)

また、この軸が約2万9千年周期でわずかにぐらついている(歳差運動している)ことも明らかになりました。

これは太陽の影響によるものだろうと考えられています。