まるでチューバッカみたいな、全身モフモフの新種カニが発見されました。

西オーストラリア博物館(Western Australian Museum)の発表によると、本種は、カイカムリ科(Dromiidae)というグループに属するスポンジ・クラブ(Sponge crab)の一種とのこと。

スポンジ・クラブは、その名の通り、海綿(Sponge)を集めて、自分の体に合うようにハサミで剪定し、それを身につけてカモフラージュを行います。

ただ、ここまで全身モフモフのスポンジ・クラブは、過去に前例がないそうです。

研究の詳細は、2022年4月28日付で科学雑誌『Zootaxa』に掲載されました。

目次

  1. 他種のスポンジ・クラブとはケタ違いの毛深さ

他種のスポンジ・クラブとはケタ違いの毛深さ

新種のスポンジ・クラブは、西オーストラリア州の南部・オールバニ (Albany)の海岸で発見されました。

スポンジ・クラブは主に、オーストラリアの海岸一帯に分布しています。

これまでに40種以上のカイカムリ科が見つかっており、そのうちの40%は同地にだけ生息する固有種です。

まるでチューバッカみたいな全身モフモフの新種カニを発見!
(画像=新種が見つかった西オーストラリア州・オールバニ(赤)の位置 / Credit: ja.wikipedia,『ナゾロジー』より 引用)

新種の学名は「ラマルクドロミア・ビーグル(Lamarckdromia beagle)」と命名されました。

ラマルクドロミアは属名で、種小名のビーグルは、1836年にオールバニを訪れたチャールズ・ダーウィンの調査船ビーグル号にちなんで名付けられています。

L. ビーグルは今のところ、オールバニの浅瀬や海綿が多い埠頭付近でしか見つかっていません。

まるでチューバッカみたいな全身モフモフの新種カニを発見!
(画像=藻類を体に貼り付けて、一緒に成長させる / Credit: ANDREW M. HOSIE et al., Zootaxa(2022),『ナゾロジー』より 引用)

スポンジ・クラブの体表面には、細かい毛がびっしり生えており、その先端がフック状になっているため、海綿や藻類を取り付けられるようになっています。

L. ビーグルも最初から、このようなモフモフ姿で生まれるわけではなく、体型に合うように海綿や藻類を切り取って、体に貼り付け、一緒に成長させます。

それらが成長すると、保護用の帽子やブランケットのようになるのです。

L. ビーグルがまとうモフモフの体は、藻類が成長したものと見られます。

ちなみに、L. ビーグルの全裸姿は、このようにひどく寂しいものです。

まるでチューバッカみたいな全身モフモフの新種カニを発見!
(画像=藻類や海綿を貼り付ける前の全裸姿 / Credit: ANDREW M. HOSIE et al., Zootaxa(2022),『ナゾロジー』より 引用)

L. ビーグルは全身をモフモフにする以外に、適当な海綿を切り取って頭部に乗せ、帽子のようにします。

その主目的は、タコや魚といった天敵から身を守るカモフラージュです。

まるでチューバッカみたいな全身モフモフの新種カニを発見!
(画像=頭上に切り取った海綿を乗せるものも / Credit: ANDREW M. HOSIE et al., Zootaxa(2022),『ナゾロジー』より 引用)

確かにこの姿でジッとされると、天敵もまさかカニだとは思わないでしょう。

まさにカニ界のギリースーツと呼ぶべきものです。

まるでチューバッカみたいな全身モフモフの新種カニを発見!
(画像=主に狙撃手が利用するギリースーツ / Credit:canva,『ナゾロジー』より 引用)

また、西オーストラリア博物館の学芸員で、本研究主任のアンドリュー・ホージー(Andrew Hosie)氏によると「海綿は、カモフラージュの役割を果たすだけでなく、他の水中生物にとって有害なものも多い」という。

スポンジ・クラブの中には、毒を持つ藻類やイソギンチャクを身につけて、天敵避けにする種もいます。

まだ特定されていませんが、L. ビーグルのカモフラージュにも、そのような役割があるのかもしれません。

まるでチューバッカみたいな全身モフモフの新種カニを発見!
(画像=他のスポンジ・クラブとはケタ違いの毛深さ / Credit: ANDREW M. HOSIE et al., Zootaxa(2022),『ナゾロジー』より 引用)

ホージー氏によると、L. ビーグルのカモフラージュは、他種のスポンジ・クラブに比べて、圧倒的に毛深いといいます。

「このグループのカニはすべてある程度毛深いのですが、L. ビーグルはケタ違いです。

全身にわたってモフモフで、また驚くほど柔らかく、温かみのある褐色をしています。

この種がなぜこんなにモフモフしているのか、明確な答えは出ていませんが、捕食者から胴体だけでなく、足までしっかり隠すためではないかと考えられています」


参考文献

New sponge crab species found off WA coast named after Charles Darwin’s research boat

New Species Of Absurdly Fluffy Crab Makes Hats Out Of Sea Sponges

元論文

The sponge crabs of Western Australia and the Northwest Shelf with descriptions of new genera and species (Crustacea: Brachyura: Dromiidae)


提供元・ナゾロジー

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