ドローンなどの飛行ロボットの多くは、胴体と2枚以上の回転翼(プロペラ)で構成されています。

ところが最近、シンガポール工科大学(SIT)に所属する機械工学者シャン・キ・エイチラエイ・ウィン氏ら研究チームは、回転翼1枚だけで飛行するモノコプターを開発しました。

胴体すら存在しない1枚の回転翼だけですが、浮遊したり、任意の場所に移動したりできます

研究の詳細は、11月1日付の科学誌『Bioinspiration & Biomimetics』に掲載されました。

目次

  1. 1枚の回転翼だけで空を飛ぶ「モノコプター」
  2. モノコプターは使い捨て任務にピッタリ!?

1枚の回転翼だけで空を飛ぶ「モノコプター」

紙飛行機や竹とんぼなどの最も単純な空飛ぶおもちゃでさえ、その飛行には、左翼と右翼、もしくは2枚以上の回転翼が必要です。

動力を搭載した飛行機やドローンになると、その構造はもっと複雑になるでしょう。

1枚の回転翼だけで空を舞う「モノコプター」が登場
(画像=一枚の回転翼だけで飛行するモノコプター / Credit:AIR Lab(YouTobe)_Bioinspir. Biomim. – Design and control of the first foldable single-actuator rotary wing MAV(2021)、『ナゾロジー』より 引用)

しかし、新しく開発されたモノコプター「F-SAM」は、たった1枚の回転翼だけで飛行しているように見えます。

1枚の回転翼自体が本体であり、回転翼の先端に装着された制御装置とバッテリーでコントロールされているのです。

1枚の回転翼だけで空を舞う「モノコプター」が登場
(画像=モノコプターの構造は非常にシンプル / Credit:Shane Kyi Hla Win(SIT)_Design and control of the first foldable single-actuator rotary wing micro aerial vehicle(2021)、『ナゾロジー』より 引用)

そして逆側の先端には小型のモーターとプロペラが付いており、これによって翼が回転するようになっています。

研究チームによると、「新しいモノコプターのデザインはカエデの種子を参考にした」とのこと。

1枚の回転翼だけで空を舞う「モノコプター」が登場
(画像=カエデの種子と翼果 / Credit:Depositphotos、『ナゾロジー』より 引用)

カエデの種子には「翼果(よくか)」と呼ばれる翼状の果実が付いており、プロペラのようにくるくると回りながら落ちていきます。

この回転が種子の落下速度を遅くし、より広範囲に種子を届けることができるのです。

そしてチームはこの回転方法を模倣し、さらに動力を追加することで、一枚の回転翼だけで16分間飛行できるようにしました。

モノコプターは使い捨て任務にピッタリ!?

1枚の回転翼だけで空を舞う「モノコプター」が登場
(画像=モノコプターは非常に軽量かつ低コスト / Credit:Shane Kyi Hla Win(SIT)_Design and control of the first foldable single-actuator rotary wing micro aerial vehicle(2021)、『ナゾロジー』より 引用)

モノコプター「F-SAM」の総重量はわずか69gとなっています。

また柔軟な回転翼は今回特別に製作されたものですが、その他の部品は安価な既製品で成り立っています。

非常にシンプルな構造なので、同サイズの飛行ロボットと比べてはるかに低コストです。

その中には小さな制御装置も含まれており、モノコプターを任意の位置座標に移動させることも可能。

1枚の回転翼だけで空を舞う「モノコプター」が登場
(画像=任意の位置に飛行させられる / Credit:Shane Kyi Hla Win(SIT)_Design and control of the first foldable single-actuator rotary wing micro aerial vehicle(2021)、『ナゾロジー』より 引用)

こうした要素から研究チームは、「新しいモノコプターは使い捨ての情報収集任務に最適かもしれない」と述べています。

例えばGPSを装着し、空中を浮遊しながら気象データを収集できます。

飛行機を使ってモノコプターを上空からばらまけば、後は空中に留まったり、任意の場所に移動したりしてデータを集めてくれるでしょう。

また回転翼が柔らかいため、モノコプターをコンパクトに折りたたむことが可能。

将来的には、折りたたんだモノコプターを弾丸のように射出して、空中で展開させられるようです。

現在チームは、「少ない労力でより多くを行う」ことに焦点を当てており、飛行ロボットの改良を続ける予定です。

参考文献
Flexible Monocopter Drone Can Be Completely Rolled Up

元論文
Design and control of the first foldable single-actuator rotary wing micro aerial vehicle

提供元・ナゾロジー

【関連記事】
ウミウシに「セルフ斬首と胴体再生」の新行動を発見 生首から心臓まで再生できる(日本)
人間に必要な「1日の水分量」は、他の霊長類の半分だと判明! 森からの脱出に成功した要因か
深海の微生物は「自然に起こる水分解」からエネルギーを得ていた?! エイリアン発見につながる研究結果
「生体工学網膜」が失明治療に革命を起こす?
人工培養脳を「乳児の脳」まで生育することに成功