目次
標高3200mから慎重に移送

標高3200mから慎重に移送

一方、調査のためには、シャモアのミイラを傷つけず慎重に運び出す必要がありました。ミイラが出土したのは標高3200メートルの高地であり、人手で運びながら下山するのは不可能です。

そこで研究チームは、イタリアの山岳歩兵隊であるアルプス陸軍部隊に協力を依頼し、特殊なケースにミイラを収容してから、ヘリコプターに吊るしてボルツァーノにある研究所まで移送しました。

ミイラは腐食が進まないよう、マイナス5度で保存されています。

アルプスの氷河が溶け出し「400年前のヤギのミイラ」が露出!体毛がなく”革のような皮膚”に驚き
(画像=Credit: Esercito Italiano/Comando Truppe Alpine,『ナゾロジー』より 引用)

現在、シャモアのミイラは、DNAや体組織が良い状態で保存されていますが、熱を受けると徐々に劣化し始め、貴重な遺伝情報も欠損していきます。

ツィンク氏は「保存条件が変わったときに、DNAがどのように変化するかを理解するサンプルとなり、今後のミイラ保存方法の模索に役立つでしょう」と話しました。

と同時に、近年の温暖化により氷河の溶解が進んでいることを踏まえると、今回の発見はミイラ大量出土の幕開けに過ぎないのかもしれません。


参考文献

livescience

iflscience


提供元・ナゾロジー

【関連記事】
ウミウシに「セルフ斬首と胴体再生」の新行動を発見 生首から心臓まで再生できる(日本)
人間に必要な「1日の水分量」は、他の霊長類の半分だと判明! 森からの脱出に成功した要因か
深海の微生物は「自然に起こる水分解」からエネルギーを得ていた?! エイリアン発見につながる研究結果
「生体工学網膜」が失明治療に革命を起こす?
人工培養脳を「乳児の脳」まで生育することに成功