中央アンデス高原で草原に埋もれた巨大な木の化石が発見されました。

科学雑誌『Science Advances』に8月28日に掲載された新たな研究では、この化石が約1000万年前のもので、この地域がかつて非常に高温多湿な環境だったことを報告しています。

しかし、これまでの古気候モデルが予測するアンデス地域の気候は、それほど湿度が高かったとは予測しておらず、これは既存の研究結果と対立する意見です。

一体1000万年の間に、アンデス地域には何が起こっていたのでしょうか?

目次

  1. 急激な気候変動
  2. 急激な土地の隆起と気候変動

急激な気候変動

ペルーで発見された1000万年前の「巨木の化石」から、既存の古代気候モデルの予想と異なる証拠が見つかる!
(画像=Credit:Smithsonian Tropical Research Institute,Carlos Jaramillo、『ナゾロジー』より 引用)

研究チームが発見した木の化石は、現代の低標高の熱帯林に見られる木材と解剖学的によく似ているものです。

この調査で採取された化石や葉、花粉のサンプルからは、この植物が生きていた時代は非常に多湿であったことがわかります。

これは既存の古気候モデルが予想するよりも、もっとずっと湿った環境でした。

この植物が生きた時代は約1000万年前は新第三紀と呼ばれる時代にあたり、現代よりもずっと気温も高かったと考えられます。そのため、おそらく現代にはこの植物と比較可能な生態系は存在していません。

木の化石が発見されたのは標高4000メートルにもなる中央アンデス山脈の高地です。このような高地は乾燥していて、低木の植物しか生えていません。

ですが、この木が茂っていた時代、この辺りは標高2000メートル程度しかなかったと考えらているのです。

急激な土地の隆起と気候変動

ペルーで発見された1000万年前の「巨木の化石」から、既存の古代気候モデルの予想と異なる証拠が見つかる!
(画像=調査が行われた位置。中央アンデス「Descanso-Yauri basin」。/Credit:C. Martínez et al.,Science Advances(2020)、『ナゾロジー』より 引用)

研究では同じ地域から約500万年前の花粉のサンプルも発見されています。しかし、それは現在のアンデス高原を支配しているプーナ帯の植物とほとんど同じような、低木のシダやハーブといったものでした。

ペルーで発見された1000万年前の「巨木の化石」から、既存の古代気候モデルの予想と異なる証拠が見つかる!
(画像=中央アンデス山脈の4000m近い高地に広がるプーナ草原。/Credit:en.Wikipedia、『ナゾロジー』より 引用)

ここには化石で見つかったような巨木は生えていません。そして500万年前にはすでに、この地域は隆起して現在のような乾燥した高地の草原になっていたようです。

これらの化石の記録は、この地域が標高と植生の両方を短期間で劇的に変化させたことを示唆しています。

アンデスの隆起は南アフリカの気候形成に重要な役割を持っていたと考えられますが、大地の隆起、地域の気候、植生の関係はまだよくわかっていません。

1000万年前には巨木の生い茂る熱帯林だった場所が、500万年後には乾燥した高地の草原に変わっていたとはあまりに急速な変化です。

アンデスの隆起はリソスフェアという地殻の最上部にある硬い岩盤層の動きが原因と考えられています。しかしこれまでの研究では地殻変動の隆起がこの地域の乾燥の原因だったとは考えられていません。

これはこれまでの研究や今回の研究においてどちらかが計算を間違えている可能性もありますが、この1000万年の歴史を振り返って修正を行うには、非常に複雑な計算をこなす必要があります。

今世紀の終わりまでには、地球の湿度と大気中の二酸化炭素濃度は、1000万年前の状態に再び近づくだろうと、研究者は予想しています。

この研究は南米全体の気候を解明するだけでなく、地球に起こる現在の気候変動の原理や制御について理解するためにも役立つ知見を示すものなのです。

【編集注 2020.09.07 00:00】
タイトルを一部修正して再送しております。

参考文献
Smithsonian Tropical Research Institute

提供元・ナゾロジー

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