これまで1700年前の西暦紀元初期に存在していたシベリア古代遊牧民については、その考古学的なデータがあまり存在していませんでした。
しかし、9月16日「American Journal of Bodily Anthropology」誌に掲載されたスイス・ベルン大学医学研究所・物理人類学部の人類学者マルコ・ミレラ博士らの研究によって、遊牧民の残虐な一面が新たに発見されました。
墓地から発見された骨格遺体には暴力や襲撃の痕跡が残っており、さらには謎の流血儀式が行われていたかもしれないのです。
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南シベリアの古代遊牧民の墓地から暴力の痕跡が発掘される
シベリアの古代遊牧民は流血の儀式を行なっていた
南シベリアの古代遊牧民の墓地から暴力の痕跡が発掘される
歴史家たちは、シベリアの古代遊牧民を戦争と略奪を生業とする暴力的な人々だと表現してきました。
しかし西暦紀元初期に存在した彼らの暴力に関する考古学的資料は発見されておらず、不明な部分が多かったようです。
そのため研究チームは、南シベリアのトゥバ共和国の墓地を発掘することにしました。

(画像=Tunnug 1 / (写真下部)Tunnug1/Credit:Gino Caspari、『ナゾロジー』より引用)
この地域にはいくつかの発掘ポイントがありますが、今回の焦点となったのは写真上の古墳「Tunnug1」です。ここはシベリア・スキタイ人最古の王家の墓の1つであり、2017年から発掘が行われていました。
そして最近の調査で、ここから87人の骨格を含む西暦2~4世紀の周辺墓地を発見。

(画像=Tunnug1 / Credit:Marco Milella、『ナゾロジー』より引用)
それら遺体には歴史家たちの予想どおり、様々な暴力の痕跡があったのです。