オウムアムアは他星系の冥王星の破片
デッシュとジャクソンは、オウムアムアがさまざまな氷でできていると仮定して、太陽のそばを通過するときに、これらの氷がどのくらいの速さで「昇華」するかを計算しました。昇華とは固体から気体、もしくは気体から固体になる状態変化を指します。
そしてその結果を元に、ロケット効果、物体の質量や形状、氷の反射率などを計算したのです。
すると、オウムアムアの奇妙な挙動は固体窒素の蒸発スピードによって説明できることがわかったのです。
固体窒素は、冥王星や海王星の衛星トリトンの表面に見つけることができます。
こうした事実から、研究者たちが考えたオウムアムアの起源は次のとおりです。

オウムアムアは約5億年前、他星系の冥王星のような惑星の表面部分でした。
そこに何らかの衝突体がぶつかったことで、固体窒素に覆われた表面が宇宙へ弾き飛ばされました。
太陽系にやってきたのは、1995年頃と考えられます。
このとき、オウムアムアは表面を覆う固体窒素の外層が蒸発していきました。
これはまるで石鹸を使い続けると、棒のようになってしまうのと同様に、オウムアムアの形状を平たく棒状のものに変えていったのです。
そして、固体窒素の蒸発スピードの関係によって、太陽に接近した後は急加速するようなロケット効果が生まれ、不自然な軌道で飛び去っていったのです。
この研究は、オウムアムアがなんであったのかという謎を解き明かした可能性が高いと考えられています。
これまで、他星系に冥王星のような天体があるかどうか、私達は知る方法がありませんでした。
しかし、それはオウムアムアの存在から知ることができるのかもしれません。
今後観測技術が向上すれば、もっと恒星間天体を発見できるかもしれません。そのときは窒素の氷塊による彗星がまれなものであるのかどうか、今回の結果を比較することもできるでしょう。
参考文献
ASU scientists determine origin of strange interstellar object(Arizona State University)
元論文
1I/‘Oumuamua as an N2 ice fragment of an exo‐Pluto surface: I. Size and Compositional Constraints
1I/‘Oumuamua as an N2 ice fragment of an exo‐pluto surface II: Generation of N2 ice fragments and the origin of ‘Oumuamua
提供元・ナゾロジー
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