日本政府は2022年6月以降、訪日外国人観光客の受け入れを段階的に再開することを検討している。このような状況の中、株式投資家は一足先に、インバウンド観光の再開で恩恵を受けそうなセクターに目をつけておきたい。株価の急上昇で大きな利益を得るチャンスとなり得る。

岸田首相はインバウンド再開に前向き

岸田文雄首相は5月5日、イギリスの首都ロンドンで行った講演の中で、新型コロナウイルスの水際対策を緩和する方針を示した。具体的には、対策の水準をほかのG7(カナダ・フランス・ドイツ・イタリア・英国・米国)並みにするという。

日本以外のG7の各国では観光客の受け入れを緩和する動きが目立ちつつあり、日本も足並みを揃えるかたちと言える。この岸田首相の方針を受け、すでに日本の各省庁でも緩和に向けて検討が始まっている。

現在、外国人の入国者数は1日あたり1万人が上限とされているが、まずこの上限を緩和することが考えられる。仮に1日5万人を上限にすると年間換算で1,825万人となり、コロナ禍前の訪日外国人数(約3,200万人)の水準の半分以上の受け入れ枠が整備されることになる。

また本格的なインバウンド観光の再開に向け、小規模ツアーを実験的に受け入れるといった検証を行っていくことについても議論しているようだ。

歴史的な円安も追い風に!株高が期待できるセクターは?

現在、1ドル=130円前後まで円安が進んでいることもあり、日本政府が本格的に訪日観光客の受け入れを開始すれば、インバウンドの盛り上がりはかなりのものになるかもしれない。円安が進んでいるということは、外国人は日本旅行を安く楽しむことができるからだ。

ではここから、インバウンド再開で株高が期待できそうなセクター(業種)を紹介していこう。

宿泊施設(ホテル・旅館など)

訪日外国人が増えれば当然、ホテルや旅館などの宿泊施設は恩恵を受ける。特に予約状況に応じた変動料金制を導入している宿泊施設は、予約が増えれば増えるほど売上が伸びていく。コロナ禍で大きく落ち込んだ売上高がV字回復となるか、注目だ。

宿泊施設関連の銘柄としては、温泉付きビジネスホテル「ドーミーイン」を展開する「共立メンテナンス」(東証プライム:9616)や「帝国ホテル」(東証スタンダード:9708)、「レッド・プラネット・ジャパン」(東証スタンダード:3350)などが挙げられる。

旅行会社(旅行代理店など)

旅行会社も宿泊施設と同様に、インバウンド再開で売上高が増えていきそうだ。アウトバウンド(日本から海外)が強い旅行代理店よりも、インバウンド(海外から日本)に注力している企業に投資妙味を感じる。

例えば、インバウンド専門の旅行会社である「HANATOUR JAPAN」(東証グロース:6561)はかなりの売上増が期待できるはずだ。同社の株価は2022年に入ってから右肩上がりの状況で、先見の明がある株式投資家は、すでにポートフォリオに同社を加えているかもしれない。

交通(航空会社や鉄道など)

観光には必ず移動が伴う。そのため、訪日観光客が増えれば移動手段を提供している航空会社や鉄道会社なども潤うことになる。

航空会社としては「ANAホールディングス」(東証プライム:9202)や「日本航空」(東証プライム:9201)、鉄道会社としては「東日本旅客鉄道」(東証プライム:9020)や「西日本旅客鉄道」(東証プライム:9021)をはじめとしたJR各社や、大手私鉄では「京王電鉄」(東証プライム:9008)などに注目しておきたいところだ。

観光施設(テーマパークなど)

訪日観光客が訪れることになる観光施設にも注目しておこう。

テーマパーク関連株としては、米ディズニーと提携して東京ディズニーリゾートを展開している「オリエンタルランド」(東証プライム:4661)への株式投資は検討する価値があるだろう。ちなみに同社の株式は5月12日時点で年初来安値となっており、上値を探る余地は十分と言えそうだ。

大相場の始まりの時期に投資ができれば……

これから株高が見込めるセクターに対する投資は当然、早ければ早いほどいい。「インバウンドバブル」という大相場の始まりの時期に関連銘柄に投資することができれば、日本株の平均点とも言える「日経平均」や「東証株価指数」を大きく超えるリターンを得られるかもしれない。

ただし、これから確実にインバウンドバブルがやって来るとも限らない。毒性が強い新型コロナウイルスの変異株が登場・蔓延する事態になれば、インバウンド観光の本格再開に向けた流れに急ブレーキがかかるのは確実だ。

一方、株価は基本的に「思惑」や「噂」段階で動き始めるため、インバウンドバブルが到来するのを待っていては、買い時を逃す可能性が高い。これが株式投資の難しいところではあるが、少なくともいまは観光関連セクターに注目する価値があることは間違いない。

文・MONEY TIMES編集部

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