アフリカ南部・ボツワナにある広大な湿地帯「オカバンゴ・デルタ」で、今年3月から、ゾウが大量死する謎の現象が発生しました。
6月末には収束したものの、現在までに約330頭のゾウが死亡し、死因もいまだに不明です。
ところが、ボツワナ野生動物・国立公園局は、21日、「毒素を持つシアノバクテリアが、ゾウの水飲み場に大量発生したことが原因である」と発表しました。
また、シアノバクテリアの大量発生については、「温暖化が深く関係している可能性が高い」と述べています。
相次ぐゾウの大量死、原因は一体?
ボツワナには、現在、世界最多となる約13万頭のゾウが生息しています。
大量死に見舞われたゾウは、オカバンゴ・デルタの北東エリアに分布するグループに属し、推定で1万8000頭に達すると言われていました。同地一帯に住む人口が1万6000人ほどなので、ゾウの方が多い計算になります。
ところが、半年ほど前から、ゾウが次々と死亡している状態で見つかり始めました。地元民は「ゾウが急にめまいを起こし、顔から地面に突っ伏して倒れる」こともあったといいます。

「密猟が原因では」という声もありましたが、ゾウに人の手による外傷は見られず、キバも無傷で残っていたことから否定されました。
密猟者は、象牙を高値で違法売買することで知られます。
原因は「シアノバクテリア」の大量発生か
この他に、動物からの伝染病や未知のウイルスなどが噂されましたが、ボツワナ野生動物・国立公園局は、「ゾウが水飲み場に用いる池や沼地にシアノバクテリアが大量繁殖したことが原因」と報告しました。
シアノバクテリアは、光合成によって水中で増殖する細菌ですが、すべてが毒素を持つわけではありません。
しかし、当局の専門家は「温暖化により水温が上昇し、有毒なシアノバクテリアが繁殖しやすい環境ができた」と指摘しました。
その証拠に、池や沼地が乾燥して干上がった6月末にゾウの大量死も収束しています。

その一方で、「シアノバクテリアが原因なら、同じ水飲み場を訪れる他の動物たちが死なないのはなぜか」として疑問を呈する専門家もいます。
他にも不可解な点は残されており、当局は、次の雨季に再び大量死が発生するのを懸念して、今後も調査を続けていくとのことです。
一体、ボツワナのゾウたちに何が起きているのでしょうか。
参考文献
sciencealert
bbc
businessinsider
提供元・ナゾロジー
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