愛くるしい姿で人気のペンギンですが、彼らはかなり鳥類の中でも特殊な形態をしています。
また、ペンギンは南半球にしか生息していません。
このことについて、8月12日付けで『Proceedings of the Royal Society
B』に掲載された新しい研究は、最近発見された絶滅したペンギンの化石から、現代のペンギンがすべて同じ祖先から進化した子孫である可能性が高いことを報告しています。
そして、そのすべてのペンギンたちの祖先は、現在では失われてしまった幻の大陸が出身地だというのです。
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新たに発見された古代のペンギン「エウディプテス・アタトゥ」

先月、ニュージーランド北島で、300万年前の保存状態が良い鳥類の化石が発見されました。
この化石は、これまで発見されていない未知のマカロニペンギン(目の上に黄色い飾り羽のあるペンギン)の古代の種でした。
新たに名付けられた学名は「Eudyptes atatu(エウディプテス・アタトゥ)」です。
Eudyptes(エウディプテス)は、目の上に黄色の飾り羽があるペンギンを指していて、この種のペンギンの学名にはみんなこの単語が付けられています。
atatu(アタトゥ)という言葉は、「夜明け」を意味するマオリ語(ニュージーランドの先住民の言語)が由来です。
ニュージーランドは地球上でもっとも多くのペンギンがいる国で、約13種の生息が確認されています。
化石は沿岸部の岩から地元の収集家たちによって発見され、ニュージーランド国立博物館「テ・パパ・トンガレワ」に報告されました。そしてこの化石の分析が始まったのです。
現存する種と古代のペンギンの比較
研究チームはこの化石を、現存するエウディプテスに分類されるペンギンの骨と比較してみました。

すると古代のペンギン、エウディプテス・アタトゥは、現存種とかなりくちばしが似ていましたが、それより細長いことがわかりました。
このことは現代のペンギンと、エウディプテス・アタトゥが近縁でありながらも異なる食生活を送っていたことを示唆しています。
つまりエウディプテス・アタトゥは現存するペンギンの祖先であるか、祖先の姉妹種の可能性が出てきたのです。