ホヤのユニークな生態

海中に動かず佇むホヤは、他にもユニークな生態が知られています。彼らは幼体のうちは、背骨の原型とされる脊索や神経管を持っていますが、なんと口や消化器官は存在しません。

そしてそもそも彼らの体には、運動神経細胞が10個程度、筋細胞が36個しかありません。ちなみに我々ヒトの脳内にある神経細胞の数はおよそ860億個とされているので、彼らの細胞数がいかに少ないかがわかります。

珍味代表『ホヤ』は夏が旬 貝のようで貝ではないユニークな生態とは?
海底に固着するホヤ(提供:PhotoAC)(画像=『TSURINEWS』より 引用)

しかしそんなホヤの幼体は、なんと海中を漂うように泳ぐことができます。一般的な生物は、神経細胞から筋肉に電気信号を送り、筋繊維を収縮させて体の部位を動かし泳ぎます。しかしホヤの幼体は電気信号ではなく、一つ一つの筋肉細胞に含まれるカルシウムの量を調整することで、僅かな筋細胞をリズミカルに収縮させ、尾を動かして泳いでいるそうです、

尾を器用に動かして泳ぐ様子はまるで「オタマジャクシ」のようだと言われます。岩に固着する成体の様子からは全く想像がつきません。身近な食材であるホヤですが、意外にもいろいろと不思議な生き物でもあるのです。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>

提供元・TSURINEWS

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