惑星形成の謎に迫る

“63光年離れた系外惑星”の撮影に成功! 直接光らない惑星の明るさから、誕生のナゾに迫る
(画像=円盤自己重力不安定モデルによる惑星形成のシミュレーション。 / Credit: L. MAYER ET AL.,sciencemag、『ナゾロジー』より引用)

惑星の形成にはまだわかっていないことが多くあり、惑星形成モデルにはいくつかの仮説があります。

例えば、恒星の周りに集まった塵の円盤で、塵や岩石が電気的な力で集まりコアを作り出してから、今度は重力的な影響で物質を降着させて形成されるという「コア降着モデル」。また、円盤自らが重力で分裂・収縮して巨大ガス惑星になるという「円盤自己重力不安定モデル」などがあります。

「がか座β星」の2つの惑星はそれぞれ直接撮影に成功していて、その明るさを比較することができますが、今回直接撮影された「がか座β星c」はbの6分の1程度の明るさしかありません。

2つの惑星は同じような大きさの、同じ星系の兄弟でありながら驚くほど明るさが異なっていたのです。巨大な星はその分熱を持ち明るく輝くことが期待されます。

「円盤自己重力不安定モデル」では質量に対してより熱く明るくなると予想され、「コア降着モデル」では逆に質量に対して暗く冷たくなると予想されます。

明るさと質量の正確な関係を知ることは、その惑星がどのように形成されたかの手がかりになります。今回の観測では「がか座β星c」は「円盤自己重力不安定モデル」から見ると若干冷たく、「コア降着モデル」から見ると少し熱いという結果になるようです。

「がか座β星b」はまだ信頼できる質量がわかっておらず、今回の観測から惑星形成についてすぐ答えが出せるわけではありません。

しかし、同じ星系の2つの惑星の直接撮影に成功しており、1つは視線速度法により質量がかなり正確に測定されている状況はかなり稀で貴重な状況です。

ここから、対立する2つの惑星形成モデルのどちらが現実に近いのかが明らかにされるかもしれません。


参考文献

Max Planck Institutes for Astronomy


提供元・ナゾロジー

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