観測技術の向上によって、太陽系以外の惑星の探索や観測の報告が多くなってきました。

しかし、直接輝くことのない惑星を太陽系以外から探し出し、詳しいデータを得るのはかなり困難なことです。

特に系外惑星の直接撮影は非常に難しい観測ですが、10月2日の科学誌『Astronomy & Astrophysicsに2本の論文で発表された研究(他論文へのリンクはこちら)は、新たに直接撮影に成功した系外惑星を報告しています。

系外惑星の直接撮影は、惑星の明るさの測定を可能にし、そこから形成原因に関わる新しい証拠を見つけ出せるかもしれません。

目次
新たに見つかった系外惑星「がか座β星c」
系外惑星を直接撮影する意味

新たに見つかった系外惑星「がか座β星c」

“63光年離れた系外惑星”の撮影に成功! 直接光らない惑星の明るさから、誕生のナゾに迫る
(画像=がか座β星系の惑星イメージ。 / Credit:Wikipedia、『ナゾロジー』より引用)

今回観測されたのは地球から約63光年離れたがか座(画架座)β星系の惑星です。

ここには2008年に「がか座β星b」という惑星が直接撮影によって発見されています。これは木星の13倍(地球の3000倍以上)の質量を持った巨大ガス惑星でした。

このサイズの惑星は、主星に重力的な影響を与え、位置をぐらつかせます。そこでフランス・グルノーブル天文台の研究者アンヌ=マリー・ラグランジェ博士は、「がか座β星」が受けている重力的な影響を過去16年間の観測データから調査しました。

すると、そのデータからは「がか座β星b」以外の影響があることに気が付いたのです。そして昨年ラグランジェ博士の研究チームは、そこから新たな系外惑星「がか座β星c」を発見したと発表しました。

先に発見されていた兄弟惑星「がか座β星b」は、直接撮影に成功している数少ない系外惑星の1つです。これは「がか座β星c」も貴重な直接撮影が可能な系外惑星だと期待できます。

現在発見されている系外惑星は4300を超えますが、そのうち質量推定が可能なものは20%程度であり、直接撮影に成功したものは約1%しかありません。

こうして「がか座β星c」の直接撮影という研究が進められ、今回その直接撮影が実現したのです。

この観測には、ヨーロッパ南天天文台(通称: ESO)がチリに建設した超大型望遠鏡干渉計の第2世代観測機器「GRAVITY」が使用されました。

系外惑星を直接撮影する意味

“63光年離れた系外惑星”の撮影に成功! 直接光らない惑星の明るさから、誕生のナゾに迫る
(画像=観測データを元にがか座β星系を画像にしたもの。 / Credit: GRAVITY Collaboration / Axel M. Quetz, MPIA Graphics Department、『ナゾロジー』より引用)

「がか座β星」はまだ2300万歳と推定される非常に若い星で、星の周りには未だに塵の円盤が存在しています。

その周りを回る2つの惑星も誕生してまだ1850万年ほどと推定されていて、その内部は未だに熱く、恒星の光の反射ではなく自身の熱で輝いています。

通常主星に近い惑星は、眩しすぎて見ることができませんが、「がか座β星c」が自ら放つ輝きは現在の観測技術で十分に検出することは可能だと考えられました。

そしてイギリス・ケンブリッジ大学の天文学者マティアス・ノワク博士が率いる研究チームは、「がか座β星c」の位置を特定し、その直接撮影を行うことに成功したのです。

系外惑星を検出するにはいくつかの方法があります。1つはトランジット法と呼ばれるもので、主星と惑星が起こす食によって検出します。ここでは光を遮る程度によって、惑星のサイズや吸収されるスペクトルから、その組成などを推定することができます。

もう1つは視線速度法(ドップラー法)と呼ばれる惑星の重力の影響で、主星の位置がぐらつく度合いを検出するものです。この方法では惑星の詳細な質量を測定することができます。

“63光年離れた系外惑星”の撮影に成功! 直接光らない惑星の明るさから、誕生のナゾに迫る
(画像=惑星の重力で揺れ動く恒星のデフォルメイメージ。 / Credit:Wkipedia Commons、『ナゾロジー』より引用)

では直接撮影にはどんなメリットがあるのでしょう? 直接撮影はその惑星を直接光で見ているということで、それ自体に魅力を感じますが、観測データとしての意義ももちろんあります。

それは惑星の固有の明るさを測定できるという点です。これは恒星からの反射の光とはことなり、惑星が形成時から保持している熱を測定できることを意味しています。