ハゼの食性
ハゼの食性もじっくり見つめてみると面白いものがある。ハゼもやはり多毛類を好む魚と言われる。関西ではイシゴカイ、関東ではアオイソメが主にミャク釣りのエサとして使われているようだが、ルアーではハゼクラなどにも反応するし、エサの許容範囲はキスよりもっと広いのではないだろうか。
ちなみにルアーの世界では最近対象魚が広がっているが、まだ、キスクラというのは聞いたことがない(秘かに実践しているルアーマンはおられるかもしれないが)。
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ハゼは匂いに反応?
以前に、身近な食品やペットフードでハゼが釣れないかというミャク釣りでのチャレンジをレポートしたことがある。あくまでそのときの状況での一つの結果ではあるが、魚の匂いのするキャットフードや乾きものの酒のつまみよりも、細切りハム(冷やし中華の具になるものである)に反応が出たのには驚いた。よく考えると試したエサの中で最も匂いの強いのはハムであった。そのため動きが皆無でもハリ掛かりしたのだと思う。
しかしそれらの食品やペットフードと動きのあるイシゴカイを同じ2本バリ仕掛けに刺すと、上下を入れかえても必ずイシゴカイの方にハゼは食う。
ハゼはキスに比べて底に静止することも多く、キス程泳ぎも速くない。釣れた時にリリースすると、しばらく足元の川底で止まっていることがよくある。ピンギスをリリースしたとき、一目散に泳ぎ去るのと対照的である。
逆に、底に静止してエサを探すのであれば、匂いや視覚をより活用しているはずで、キスとはエサを取るときの習性がかなり違うのではないか?常に遊泳しながら俊敏な動作でエサに食いつくキスとは異なり、ときどき川底に静止しながら匂いと視覚でエサを探し、徐々にエサにアプローチするような動きが想像できる。
フィッシュイーター?
またハゼには姿に似合わず獰猛な面もある。ハゼ釣りの対象魚はマハゼとウロハゼであるが、特にウロハゼとマハゼは少し習性が異なるように思えてならない。
ハゼは大きさの割に口の大きな魚である。カレイバリのような比較的大きなハリにも掛かるのはそのためであると思うが、マハゼとウロハゼを並べて観察すると、ひれの模様や体色以外に、頭の形が微妙に違っている。ウロハゼはマハゼと比べてやや頭が大きく、口もマハゼに比べて一回り大きく、しかも若干扁平している。
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以前18cmほどの良型のウロハゼを釣り、料理しようとさばくと、腹のなかからマハゼの幼魚がほとんどそのままの状態で出てきて驚かされた。
ハリ掛かりしたデキハゼに食いついたのか、単独でデキハゼを食べたのかははっきりわからない。しかしハリ掛かりしたマハゼに飛びついたのであれば、エソやマゴチと同じく、ウロハゼも小さいながらフィッシュイーターということになる。ウロハゼやマハゼがどんなエサを食べているのか、深く調べていくと案外面白い事実が見つかるかもしれない。
就餌行動の研究に期待
筆者の限られた釣りの経験からの知識を述べてきたが、キスとハゼだけを例にとっても、魚の大きさや生育環境によってエサの種類や取り方はかなりかわってくる。また、同じような投げ釣りのターゲットで共通のエサで狙えるものであってもエサに食いつくときの行動は大きく違っている。
魚の就餌行動には、エサの嗜好性と、エサを取る時にどのような感覚を主に働かせているか、視覚主導か、嗅覚重視なのかという問題が共存している。これは水産学の研究分野であるのでその分野のエキスパートの方からの情報を待たなければならないと思うが、そうした研究が進めば、釣りの世界もまたさらに面白くなってくるはずだ。
<牧野博/TSURINEWSライター>
提供元・TSURINEWS
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