海底火山「福徳岡ノ場」が噴火
東京のはるか沖合、小笠原・硫黄列島にある海底火山「福徳岡ノ場」。8月13日に噴火し、新島が生まれたことが大きな話題となりました。
福徳岡ノ場は、太平洋戦争の激戦地として知られる硫黄島から50km南にあり、人の住む環境から隔絶されたところにあります。火山活動はもともと活発な火山でで1904年、1914年、1986年に大きな噴火を起こし、いずれも新島を誕生させています。
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しかしこれらの新島は、噴出物の軽石で形成された島のためいずれもその後波や海流によって消滅してしまいました。また、島の形成には至らなかったものの、2005年と2010年にも噴火が確認されています。
「福徳岡ノ場」とはどういう意味か
この「福徳岡ノ場」という名前、海底火山の名前とは思えないユニークなもので一度覚えるとなかなか忘れられません。このような名前になったのは「福徳丸という漁船が発見した海底の盛り上がり」であるから。
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海底火山や堆、自然漁礁などの海底地形の多くは、しばしば漁船によって発見されています。海底火山は噴火による海水の変色や、噴煙が上がることで確認されるため、近くの海上にいないと見つけられないことが多いのです。
同じように漁船の名前がつけられた地形には、明神礁や福神岡ノ場といったものがあります。
海底火山は「金儲けの場」
しかし、なぜはるか沖合にある海底火山が、探索線ではなく漁船によって発見されてきたのでしょうか。それは、そもそもこのあたりに漁船が集う事が多かったからです。
昭和後期になると、漁船の造船技術や漁業の技術が発展し、日本の沿岸だけではなく、はるか沖合における漁業も盛んになりました。それに伴い、海底火山が連なる硫黄列島沖は好漁場として漁船が集結したのです。
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海底火山や絶海の孤島の多くは深海底から一気に盛り上がる地形となっているため、斜面に沿って「湧昇流」と呼ばれる深海水の上昇が発生します。これにより、プランクトンが豊富に発生し、魚たちが多く集まります。
小笠原諸島へと続く伊豆諸島には、銭が稼げるから「銭洲」という名前の岩礁帯も存在しています。このような地形はいわば天然の漁礁のようなもので、漁師たちにとっては金儲けができる場所だったのです。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>
提供元・TSURINEWS
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