パンデミック発生から2年以上が経ち、一時は混乱に陥っていた世界各国では「ウィズコロナ」への移行、もしくはコロナ前の生活への回帰が進んでいます。

日本が厳しい鎖国体制から徐々に脱却姿勢を見せている中で、海外ではすでに国際観光再開や出入国時の規制撤廃などの動きが見られており、国や地域ごとに対応は様々です。

本記事では、各地で表れている「コロナ封じ込め」からの変化の様子を紹介します。

目次
パンデミックから2年、海外では「観光回復期」に踏み入れ
国際観光の再開は始まっている

パンデミックから2年、海外では「観光回復期」に踏み入れ

UNWTOは、2022年の国際旅行市場は「緩やかな回復」を魅せると予測しています。

また旅行データ分析会社のForwardKeysは、2022年の全世界国際線到着数は2019年の-59%になると分析しており、2020年や2021年に見られた大幅な落ち込みからは脱却しつつあると考えられます。

以下では、直近2週間以内のニュースを中心にまとめ、海外各地の最新動向を地域別に紹介します。

アジア:各国で規制緩和が加速

東南アジアを中心に、アジア諸国では入国規制の緩和や「規制なしの国際観光受け入れ再開」が進んでいます。

マレーシアは4月1日、新型コロナウイルス感染症に関する対策として設けられていた入国制限を、一部条件のもとで約2年ぶりに撤廃しました。

ワクチン接種完了者は隔離なしの入国が可能になっています。

政府は今回の規制緩和に伴って2022年は200万人の観光客誘致を目指す姿勢です。実際に、規制緩和後4日間で合計25万以上の出入国があったということです。

またシンガポールも同日から、ワクチン接種完了者に関しては入国時の隔離義務を廃止しています。これまで行ってきた国や地域を指定したうえでワクチン接種者の隔離なし往来を認める「ワクチン・トラベル・レーン」は終了しました。

旅行意欲も高まっている模様で、三井住友海上グループのMSIGが3月28日に発表した調査「Singapore Travel Insurance Consumer Research 2022」の結果によれば、シンガポール人の5人に3人(60%)が2022年に旅行を計画しており、そのうちの36%はアジア外への旅行を検討しているということです。

国際観光への需要の高まりは他の国でも表れており、ウィズコロナ政策をすすめる韓国では海外旅行商品の販売数、購入数がともに激増しています。

特にコロナ禍で旅行中止を余儀なくされた人たちによる「リベンジ旅行」への熱が強く、ハワイへの旅行予約、渡航数が飛躍的に増加しているということです。

韓国政府は5月から国際線運航本数を拡大する方針を示しており、さらなる追い風となることが期待されます。

また早期に観光客受け入れを再開させたタイに関しては、訪タイ意欲が伸びています。Agodaの調査より、2022年1月から3月までの間に世界で最も検索された観光地がタイであったことがわかっています。

このほか、インドネシアやフィリピンなどでも入国時の規制緩和や観光客受け入れへの取り組みがすすんでいます。

豪州・NZ:全世界との往来再開へ前進

オーストラリアおよびニュージーランドは、厳しい水際対策が敷かれていた地域の一つです。

オーストラリア、ニュージーランド間のトラベルバブルの度重なる中断と再開、ニュージーランドにおいては複数回にわたるロックダウンが行われていました。

しかし、2022年に入り2国ともに他地域との国際往来再開に踏み切りました。

オーストラリアは2月より国境を再開させており、観光客を含む渡航者を全世界から受け入れています。さらにスコット・モリソン首相は観光再興に注力する姿勢で、海外からの観光客誘致のために6,000万ドル(約55憶5,600万円)の資金援助を行う意向を示しました。

ニュージーランドは今後段階的に規制緩和を実行する予定です。ワクチン接種完了者に限り、オーストラリアからの旅行者は4月12日以降、日本を含むビザ免除国からの渡航者は5月1日から隔離なしで入国できます。

北米:国内旅行需要が顕著に

アメリカでは世界各国が観光再開のゲートを開けていることにともなって、人々の旅行意欲も高まっています。

アイルランドのソフトウェア企業CarTrawlerの調査では、2022年3月から4月の旅行意欲は前年比106%、アメリカ人消費者の73%が旅行に前向きであることを示しています。

国内旅行のトレンドとしては、Z世代やミレニアル世代を中心に「1人旅」への関心が集まっているということです。旅行者の4人に1人が6カ月以内に一人で旅行することを計画していることがわかりました。

国内の規制緩和の動きもすすんでおり、米疾病予防センター(CDC)が3月30日にパンデミック発生後初めてクルーズ船への警告を取り下げたほか、アメリカの各州でのマスク着用義務撤廃などが相次いでいます。

アメリカでは「コロナ前」の生活水準を取り戻し、経済活動再開に向かっていることがうかがえます。

欧州:観光客誘致に積極姿勢、観光需要は本格回復へ

ヨーロッパでは、海外からの観光客誘致を強めるフェーズに入るとともに、コロナ前の水準に到達する勢いがみられています。

観光大国スペインは、2022年2月に到着した国際観光客数が約320万人に上り、パンデミック直前期(2020年2月)の71%にまで回復したと発表しました。

さらにスペインのレジェス・マロト商工観光大臣は、今年の4月には感染症流行前の2019年の約80%に戻るとの予測を発表しています。加えて、今月に控えるイースター休暇が契機となり、北欧からの旅行客が増大すると考えています。

スペインはまた2021年12月に「2030年は日本人観光客100万人を目指す」という方針を示しており、パンデミック後の観光客呼び戻しに果敢に挑んでいます。

イースターによる観光需要の高まりは、イギリスでも期待されています。

VisitEnglandの調査「Domestic Trip Tracker – Easter 2022」によれば、740万人のイギリス人がイースターの週末の旅行を計画しており、約18億ポンド(約2,900億円)の経済効果が見込まれています。これはコロナ前の2019年と同水準であるということです。

ポルトガルでも観光経済回復の様子が表れており、2022年2月の海外観光客数は前年比500%増となったことがわかりました。2020年2月と比べると回復までは至っていませんが、徐々に息を吹き返しつつあると考えられます。

このような欧州を中心とした需要回復に応えるかのように、エールフランスは2022年夏のスケジュールとして、2019年の水準の96%にあたる世界196の目的地に就航することを明らかにしました。

便数に関してはコロナ前を上回る発着数を予定しているということで、米国へは2019年比20%増、カナダへは2019年比25%増を計画しています。

国際観光の再開は始まっている

日本ではインバウンドの再開には至っていませんが、世界に目を向けると国際観光を再始動させる動きや回復の一途をたどる様子がさまざまに見られます。

またスペインやマレーシアなど、国によっては観光客数の具体的な数値目標まで掲げていることにも注目したいところです。日本は観光目的の入国を解禁していないフェーズですが、世界ではさらにその先の計画まで見据えています。

インバウンドの誘致とは、国家間における国際観光のシェアの奪い合いでもあります。コロナ禍で一時停止していた国際観光はすでに局地的に動き出しており、熾烈な競争が再開するまであとわずかといえるでしょう。

「コロナが落ち着いたら」は、既に到来しています。刻一刻と変化する観光市場に今後も着目し、二手三手先まで見越した計画が求められます。

文・訪日ラボ編集部/提供元・訪日ラボ

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