クレジットカードの中で最も高いランクは「ブラックカード」と呼ばれる。招待制ということもあり、その存在自体が一般にはほとんど知られていない。そこで、このカードの実態を紹介しよう。

ブラックカードとは?初年度176万円かかるカードも

クレジットカードのランクは下から、一般→ゴールド→プラチナ→ブラックとなる。ランクが高くなるほど審査基準は高くなっていく。ブラックカードは、カード会社からの招待がなければ申し込み自体ができない。通常、プラチナカードを数年保有して高額利用を続けることで招待される。

ブラックカードの招待基準はカード会社により異なる。数あるブラックカードの中でも特に高いステータス性を持つとされる「アメックス・センチュリオン」の会報誌の広告出稿者向け資料によると、会員の約半数は企業オーナーで純資産は平均で約13億円、年収は約2億円だという(2021年2月15日のレートで算出)。超富裕層向けのカードといっていいだろう。

次に、日本で発行されている代表的なブラックカードをいくつか紹介しよう。なお、ブラックカードはカード会社の公式サイトで詳細が紹介されていないケースも多い。年会費などのカード情報は、実際の保有者からのクチコミを参考にしたところもある。

初年度85万円+税が必要なアメックス・センチュリオン

「アメックス・センチュリオン」の年会費は35万円(税別)、入会金は50万円(税別)といわれている。最高1億円の海外・国内傷害保険をはじめとする数々の保険が充実するほか、会員ごとに付くパーソナル・コンシェルジュ、高級ホテルでの優待、高級ホテルグループの上級会員資格、国内航空券座席の無償アップグレード、空港VIPラウンジサービスなど富裕層向けの数々の特典が提供される。

初年度176万円が必要なラグジュアリーカードBlack Diamond

ラグジュアリーカードは、Titanium→Black→Gold→Black Diamondの順にランクが上がっていき、そのいずれもが国際ブランドMasterCardの最高ランク「ワールドエリート」に該当する。つまり4種ともブラックカードに相当するといっていいだろう。

そのうち最高ランクの「Black Diamond」に入会するには、入会金110万円(税込)、年会費66万円(税込)が必要だ。券面には高品質の天然ダイヤモンドが埋め込まれており、会員には、15万円相当のギフトプレゼント(年2回)、最高20万円相当のホテルギフト、年1回のマイルプレゼント、会員制レストランなどの席確保といった特典が提供される。

年会費14万3,000円のダイナースクラブ プレミアムカード

「ダイナースクラブ プレミアムカード」の年会費は14万3,000円(税込)と、先の2つに比べると安くすら感じる。しかし、最高1億円の海外・国内旅行傷害保険のほかグルメ、旅行、ゴルフ関連の特典・サービスが非常に充実している。銀座の中心部にある「ダイナースクラブ 銀座プレミアムラウンジ」も利用可能だ。

そのほかのブラックカード

そのほか、ブラックカードとされるカードとして「TRUST CLUB ワールドエリートカード」「JCB THE CLASS」「楽天ブラックカード」が挙げられる。ただし、「JCB THE CLASS」はプラチナとブラックの間に位置付けるべきという意見がある。「楽天ブラックカード」は券面に「PLATINUM」の表記があるため、実際にはプラチナランクのカードとみなされている。

ブラックカードの特典は?富裕層向けのサービスが充実

ブラックカードの特典・サービスはカード会社により異なる。ここでは、ブラックカードにほぼ共通すると思われる特典の例を紹介しよう。

専従コンシェルジュ

ブラックカード会員各自に専従のコンシェルジュが付くため、秘書や執事のような感覚で利用できる。こちらの嗜好などを反映した対応をしてもらえる。

決まった利用限度枠がない

決まった利用限度枠がなく、会員の資産状況などに応じて高額のクレジット利用も可能だ。カード会社にもよるが、高級車をクレジット決済で購入する使い方もできる。

高級店での優待が充実

高級ホテルや高級レストランでの優待が充実しているので、上手に活用できればそれだけでかなりのメリットとなる。

富裕層向けの特別なイベントに参加できる

各種イベントのVIP席やバックステージの訪問機会が提供されたり、ブラックカード会員相互の交流イベントなどに参加できたりする。

そのほか、カードの特典ではないが、ブラックカード保有者を上顧客とみなし、ホテルやレストランといった店舗側がさまざまな便宜を図ってくれることもよくあるようだ。

富裕層でなければ意味がないカード

ブラックカードは、ステータス性ということではこれ以上のないレベルである。特典・サービスも高額な年会費に見合った内容だ。

しかしながら、普段からお金をかけたライフスタイルを実践しているような富裕層でなければ活用できない特典も多い。そうした人以外には、無用の長物といってもいいだろう。

執筆・モリソウイチロウ(ライター)
「ZUU online」をはじめ、さまざまな金融・経済専門サイトに寄稿。特にクレジットカード分野では専門サイトでの執筆経験もあり。雑誌、書籍、テレビ、ラジオ、企業広報サイトなどに編集・ライターとして関わってきた経験を持つ。

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